○久御山町環境基本条例

令和4年12月26日

条例第21号

私たちのまち久御山町は、古くは広大な湖沼であった巨椋池を中心に自然の恵みを享受し、多種多様な生態系を形成していた。この巨椋池沿岸での漁業のほか、町域内では古代から農業が盛んに営まれていたが、国営事業として巨椋池の干拓や周辺の耕地整理が実施されると、一大優良農業地帯が形成され、更なる緑豊かな環境の下で人々は生活を営み、歴史と文化を育んできた。

しかし、昭和41年に国道1号が開通すると、まちの様相は一変し、急速な経済発展を遂げ、都市化や人口増加が進み、農業を中心としたまちから農業と工業のまちへと姿を変える中で、農地の減少や自動車の排ガスによる大気汚染など都市型公害が顕在化することとなった。

また、経済発展による恩恵は私たちの生活を大きく変え、物質的な豊かさや便利さを得た反面、資源やエネルギーの大量消費を前提とする社会経済構造は自然環境や生活環境のみならず地球全体の環境に負荷をかけ、急速な地球温暖化の進展など大きな影響を与えている。

私たちは健康で文化的な生活を営むうえで、健全で恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、その環境を適切に保全し、将来の世代に継承していく責務を負っている。

この共通認識の下に、町、事業者及び町民がそれぞれの立場において環境の保全と創造に取り組むとともに、目指すべき将来像の実現に向けて相互に協力し、経済的発展と環境の保全、創造が互いに阻害することなく持続的に発展していく脱炭素社会をつくりあげていくため、ここに久御山町環境基本条例を制定する。

(定義)

第1条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 事業者 久御山町(以下「町」という。)内において事業を行う者をいう。

(2) 町民 町内において住所を有する者、土地若しくは建物を所有、管理又は占有する者、町内就業者、通学者及びその他本町に滞在する者をいう。

(3) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(4) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(5) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接に関係のある財産並びに人の生活に密接に関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生じることをいう。

(6) 再生可能エネルギー エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成21年政令第222号)第4条に規定する太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスその他エネルギー源として永続的に利用ができると認められるものをいう。

(7) 循環型社会 廃棄物の発生を抑制するとともに、廃棄物のうち、有用なものをできる限り循環資源として使用し、かつ、適正な廃棄物処理により、天然資源の消費が節減され、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。

(基本理念)

第2条 環境の保全と創造(以下「環境の保全等」という。)は、町民が安全かつ健康で文化的な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保するとともに、これを将来の世代へ受け継いでいくことを目的として行わなければならない。

2 環境の保全等は、人と自然との共生を図るとともに、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会の構築を目指し、町、事業者及び町民がそれぞれの責務に応じた役割分担の下に積極的に行わなければならない。

3 地球環境の保全は、現在及び将来にわたって、町民が健康で文化的な生活を営むことができる快適な環境を確保する上で極めて重要であるとともに、人類共通の願いでもあることを認識し、地域での取組を含め、国際的協力の下、積極的に推進しなければならない。

(町の責務)

第3条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、町の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。

2 町は前項の施策の策定及び実施に当たっては、国及び他の地方公共団体と連携を図り、その推進に努めるものとする。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴って生じるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全等のため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に適正な処理を講じ、環境への負荷の低減に努めなければならない。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

(町、事業者及び町民の協働)

第6条 町、事業者及び町民は、前3条に規定するそれぞれの責務を果たすため、協働して環境の保全等に関する施策及び活動を推進するよう努めなければならない。

(施策の基本方針)

第7条 町は、基本理念にのっとり、次に定める事項を基本方針として、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。

(1) 人の健康を保護し、生活環境及び自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生態系の保全、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、澄んだ空、美しい川、花と緑の自然等における多様な自然環境及び豊かな農地が保全、創造されること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いを確保するとともに、心豊かに暮らすことのできる地域環境を創造するため、緑や水系などの自然と調和した魅力ある景観形成を推進するとともに、自然災害に強いまちづくりの推進に努めること。

(4) 廃棄物の減量、資源及びエネルギーの消費の抑制並びに再生可能エネルギーの導入促進等の循環資源の再利用が徹底される施策の推進に努めること。

(5) 温室効果ガスの排出削減等の地球環境の保全に資する施策の推進に努めること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、久御山町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、前条に規定する施策の基本方針に沿い、環境の保全等に関する施策の基本的事項をはじめ、取組施策、推進体制等について定めるものとする。

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、事業者及び町民の参画又は協力が得られるよう、必要な措置を講じなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

(環境基本計画と他の施策との整合)

第9条 町は、施策を策定し、又は実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図らなければならない。

(環境状況等の公表)

第10条 町長は、毎年、町の環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等を公表するものとする。

(規制措置)

第11条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる行為について必要な措置を講ずるものとする。

(1) 公害の原因となる行為

(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為

2 前項各号に掲げるもののほか、町は、環境の保全上の支障を及ぼすおそれがある行為について必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第12条 町は、環境の保全等に関する施策の推進及び環境の保全上の支障の防止のため、必要かつ適正な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(公共的施設の整備)

第13条 町は、公園、緑地その他の公共的施設の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(自然環境の保全)

第14条 町は、生物の多様性の確保が図られるとともに、多様な自然環境が再生、保全及び創造されるように必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第15条 町は、環境への負荷の低減を図るため、資源の節減及び循環資源の再利用、エネルギーの節減及び有効的利用並びに廃棄物の減量が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全等に関する教育及び学習等)

第16条 町は、事業者及び町民が環境全般についての関心と理解を深め、環境の保全等に関する活動を行う意欲が増進されるよう、環境に関する教育及び学習の振興その他必要な措置を講ずるものとする。

(事業者及び町民の自発的な活動の促進)

第17条 町は、事業者及び町民が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全等に関する活動が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(久御山町環境の日の制定)

第18条 環境の保全等の重要性を再認識し、環境の保全等についての更なる意識醸成を図る機会とするため、環境基本法(平成5年法律第91号)第10条第2項に定める環境の日である6月5日を久御山町環境の日と定める。

(監視体制等の整備)

第19条 町は、環境の状況を把握し、環境の保全等に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、調査等の体制の整備に努めるものとする。

(地球温暖化の防止等に関する施策の推進)

第20条 町は、地球環境の保全に資するため、地球温暖化の防止、脱炭素社会の構築、オゾン層の保護及び再生可能エネルギーの導入に関する施策を積極的に推進するものとする。

(環境審議会の設置)

第21条 環境の保全等に関する基本的事項その他町長が必要と認める事項について、町長の諮問に応じ、調査し、及び審議するとともに、当該事項について町長に対し、意見を述べるため、環境基本法第44条の規定に基づき、久御山町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

久御山町環境基本条例

令和4年12月26日 条例第21号

(令和5年4月1日施行)